ブランドには信用と認知度があります。その背景となるのは、先ほども申し上げたとおり、伝統と信頼である場合が多い。そうした目に見えない部分が価値として成立する、だからこそ“ブランド”と言えるわけです。ならば、ブランドをつくっていく際にはどのように考えればよいのでしょう。例えば「創業数百年」なんて、背景としては非常にわかりやすい要素ですが、誕生したてのブランドが、数百年の歴史を持つはずはありませんね。「○○御用達」……これも同様です。私は、ブランドをつくっていく際には、単純に“面”を見ていてはいけないと考えています。伝統や信頼を最初から手にすることなんて誰にもできないわけですから(もちろんそればかりを追い求めているわけではありませんが)。人がブランドを見るとき、目に入るのは確かに“ある一面”かもしれません。その人と、そのブランドとの関わり方によって、見られる面は違ってくるでしょうから。ただ、ブランドは平面ではありません。立体です。しかもその表面は決して直線的ではない。なぜなら、ありとあらゆる角度から見られるわけですから。多角体だと、位置の違いによって微妙な歪みが生じてしまう。それはブランドづくりにおいては致命的です。私がつねづね言うことがあります。ブランドは球体なんです。