ファッションという、人間の暮らしをみつめる仕事をしていると、「男と女」について考えさせられる。ことにヨーロッパで仕事をするようになってとくにそう思うようになった。男と女。西洋では、男と女の存在感がはっきり意識されていて、男と女のストーリーというのか、あらゆることがそこにいきつくように思う。女の洋服をつくっていると、ボーイッシュな服が流行ることもあるし、ユニセックスなどといわれることもあるが、そういう現象も「女が着るもの」、「男が着るもの」という本質的なことを意識したうえで成り立つのだと思う。また夜のパーティとなると、男と女が集まってくるところだから、お互いが強く意識される。だから、「いい女だな」と思わせるセックスアピールが大切だし、女たちが「魅力的な男」と目をつけるように、男たちもいい女に注目する。着るものはそういった場で大きな役割を果たす。だからファッションデザイナーは、「男と女のストーリー」を描けることが重要なのだ。