ドル/円との為替レートが、1ドル=120・00円で動かないと仮定します。120万円を円預金で1年間、銀行に預金すると、(120万円)×(0・50%)=6000円円預金の場合には、外国為替手数料がかかりませんから、1年後に受け取る元利合計は、1206000円になります。1万ドルの外貨預金をするには、1ドルについて1円の手数料がかかるので、121万円を支払って1万ドルを購人して、それを預金します。1年後に受け取る利息は525ドルですから、元利合計は、10525ドルになります。これを円に交換するのですから、手数料は10525円かかります。「(10525ドル)×(120・00)−10525円=1252475円」一番初めに支払ったのは121万円ですから、42475円が利息ということになります。「(42475円)÷(121万円)=3・51033%」実質利回りは、3・51%です。つまり、手数料がかかるので、ドル金利が5・25%だからといって、5・25%の利息をフルにもらえるわけではない、ということです。また、円金利が0・50%だからといって、ドル金利と円金利の差の4・75%(5・25%−0・50%)の金利を額面通りに受け取れるわけでもありません。円金利が0・50%であり、ドル金利が5・25%ですから、円金利とドル金利に違い(金利差)があります。外国為替を使うと、この金利差が原因で、受け取れる利息(最終的に受け取れる円資金)に違いが出てきます。ただし、手数料がかかるので、ドル金利の絶対値である5・25%の利息を受け取れるわけではなく、また、ドル金利と円金利の絶対値の差(この場合なら、4・75%)の金利を受け取れるわけでもありません。ここまでは、日本円を持っている個人投資家の立場で説明してきました。こういった金利差を利用する取引は、もともと円資金を保有していなくても、取引することが可能です。円資金を持っていなければ、円を借りてくればよいのです。日本円の金利は、引き続き超低金利ですから、低い金利で円を借りてきて、その円資金をドルに交換して、ドルで運用すれば、金利差を享受できます。円の低金利を利用して、高金利通貨との金利差で儲けようとする取引手法(トレード・テクニック)を「円キャリー・トレード」と言います。金利差を狙って儲けようとするのならば、低金利の通貨と高金利の通貨を組み合わせればよいのです。それは、その通りです。この10年以上にわたって、円金利は群を抜いて低かったので、「円キャリー・トレード」という言葉は、世界のマーケット(外国為替市場)で、流行語になりました。円金利が相対的に高かった1990年代前半ごろには、スイスープラン(CHF)金利が相対的に低い時期がありました。そのころには、「スイスープランキャリー・トレード」という言葉も使われました。現在でも、スイスープラン金利は相対的に低いので、「スイスープランキャリー・トレート」を行う市場参加者がいます。しかし、日銀がゼロ金利政策を採ったように、円金利の低さはスイスープランのそれを上回っていました。ですから、「円キャリー・トレード」は「スイスープランキャリー・トレード」以上に注目されて、世界中でブームになったのです。